中国料理の宴席を、どんな麺料理やご飯料理で締めるか。これは大問題である。
通常、焼きそばや炒飯を食べるケースが多いが、これではあまりにも芸がない。
といって豪華な具を組み合わせた料理や、濃厚な味つけのものでは、散々料理を食べた後の舌が受け付けない。
シンプルでひねりがきいた料理が欲しい。
そんなわがままな希望をすんなりとかなえてくれるのが、「楽山」の「ニラニンニク入り和えそば 韮菜拌麺」である。
四川料理「楽山」のメニューを開くと、ミニニラニンニク入り和えそば(五百円)という、半人前の麺料理が記されていて、これが味わいといい、量といい、宴席の締めに実にふさわしいのだ。
もちろんミニ版だけでなく、一人前の量(千円)にしてもらって、あっさりといきたい昼食にツルツルと食べたり、ビールのつまみにしても、おいしい麺料理である。
このニラニンニク入り和えそばは、ご主人大久保光雄氏が、賄い料理として食べていたものをアレンジしたそうで、作り方は次の通りだ。
全蛋麺(卵を練り込んだかん水を使わない麺)を茹でて水気を切り、塩、胡椒、極少量の化学調味料、胡麻油を入れておいたボールに入れて、手早くほぐしながら和える。
次に麺を皿に盛り、上に葱とニラの微塵切りをこんもりと載せ、同時進行で高温に熱していた白締油に、にんにくの薄切りを投入してカラリと揚げ、熱い油とともに麺の上にジャッとかけて完成だ。
いや、これではまだ完成ではない。
運ばれてきたニラニンニク入り和えそばを、客がよくよく混ぜ合わせてこそ、完成なのである。
うすると、最初はストレートに鼻を突いていた、にんにくの強烈な香りが丸い香りに変わるのだ。
麺をすすると、ニラ、葱、にんにく、胡麻油の香りが、麺に絡みあって次々に口元にやってくる。
ニラとにんにくと聞けば、強い香り同士の重なりに恐れをなす人もいようが、火が通され、混ざり合った香りは、穏やかに食欲をそそるだけである。
そして、わずかな塩気とニラのアクセントに支えられた全蛋麺が、何よりもおいしい。
ツルリと数十秒で食べ終えてしまうほどである。
油も多用されていながら、後味は爽やか。
しかし、強壮、強精の雄ニラとにんにくならではの薬効で、食べ終れば、少しずつ体は上気していくのである。
写真はイメージ
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